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通販という巨人

清水建設が物流施設運営
600億円投資、ネット通販拡大にらむ
 インターネット通販の拡大をにらみ、建設・不動産大手が都市部近郊に大型物流施設を相次ぎ建設する。清水建設は最大600億円をかけて首都圏に3拠点を整備し、物流施設運営に本格参入する。シンガポール系不動産大手も約900億円を投じる。ともに賃貸式で幅広い企業の需要を取り込む。

 消費地近くで拠点の集積が進めば、多様な商品で即日配送エリアが広がり、消費者の利便性が高まりそうだ。
 ネット通販のアマゾンジャパン(東京・目黒)や宅配のヤマト運輸など大手企業は自社で大型物流施設を整備し、配送時間を縮めるなどして競争力を高めてきた。清水建設は施設を食品メーカー、アパレルなどに貸し出す。自前で大型施設を整備するのが難しい企業も効率的な物流網を利用できるようになる。
 まず2015年度中に首都圏中央連絡自動車道圏央道)の川島インターチェンジ(埼玉県川島町)近くで着工する。延べ床面積は約3万3千平方メートル。大手に加え中小企業にもネット通販が広がっており、今後も需要は膨らむとみて自ら施設運営に乗り出す。
 18~19年度には首都圏を囲むように整備が進む圏央道沿いなどに10万~20万平方メートルの大型施設2カ所を開く計画だ。物流施設運営で年間45億~55億円の収入を見込む。
 ネット通販は拡大している。13年には消費者向け電子商取引の国内市場は11兆円を超えた。注文から短時間で商品を受け取りたいという消費者の要望は高まっており、企業は即日配送や受取時間指定サービスなどで囲い込みを急いでいる。
 シンガポール系の物流不動産開発大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(東京・港、GLP)は、6月に日産自動車の工場跡地(神奈川県座間市)に延べ床面積13万平方メートルの施設を完成させる。このほか年内に7施設が竣工する計画で15年の投資額は約900億円になる。16年以降も年間700億円をメドに投資する方針だ。
 国内大手では三井不動産が、18年までに首都圏を中心に延べ床面積3万~4万平方メートル級の施設を新たに4カ所稼働させる。大和ハウス工業も積極的に開発している。
 不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)によると、大型の賃貸物流施設(延べ床面積5千平方メートル以上)の15年の新規供給面積は約204万平方メートル。リーマン・ショック前の建設ラッシュでピークだった08年の水準を上回る見通しだ。