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2015.1.19 06:00
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 今月9日に発表された日本ロッテホールディングス(HD)重光宏之副会長(60)の解任。グループトップの後継本命とみられていた長男の電撃的な“追放”は、「経営手腕を問われた引責か」など、さまざまな憶測を呼んでいる。ただ、事情に詳しい関係筋が強めている見方は、「経営問題というより、創業家内の対立ではないか」というものだ。韓国財閥の雄の一角であるロッテ創業家内部で何が起きているのか。

「総帥」の強い意向か

 宏之氏は8日の臨時株主総会で解任された。わずか数日前の5日には、3子会社での役職を解かれたばかり。「何が起きたのか」。メディアは取材に走ったが、同社の広報担当者は「機密事項にかかわる」として、背景を一切説明しなかった。

 ロッテHDは、重光武雄会長(92)が1948年に東京で創業し、チューインガムやチョコレート菓子で事業を拡大。進駐軍が日本に持ち込んだチューインガムにヒントを得たという。50年代には「グリーンガム」など、今に続く人気商品を世に出している。

 日韓国交正常化後の67年、韓国へ進出。近年は、菓子中心の日本事業を長男の宏之氏が統括。小売やホテル、レジャーなどを手広く手がける韓国事業を、次男で韓国ロッテグループ会長の昭夫氏(59)が指揮してきた。

 日韓で「分業体制」を敷いた形で、日韓のロッテは互いに組織が独立し、人事交流もほとんどない。2013年度の売上高は、韓国ロッテが約5兆円であるのに対し、日本ロッテは4077億円と、大きく差がついている。

 今回の解任には、グループの「総帥」である武雄氏の強い意向が働いたといわれている。朝鮮日報日本語版は、昭夫氏が今月13日、韓国で「解任は父がしたこと」と話したと報じた。

 非上場企業であるロッテは、情報をまったく開示していない。このため、解任の背景について、さまざまな憶測が飛んでいる。

「ガムのリニューアルが原因?」

 例えば、業界筋で流れている臆測のひとつは、「宏之氏が日本でのガム事業の建て直しに失敗し、その責任をとらされた」というものだ。ロッテは昨年、「グリーンガム」をシュガーレス化するなど、発売57年目にして初のリニューアルを行ったが、「創業時からの主力事業だけに武雄氏には強いこだわりがあり、失敗は許し難いものだったのでは」と業界関係者のひとりは推測する。

 「宏之氏と日本人幹部の経営方針の対立が原因」だと見る向きもある。

 ただ、あるメガバンク幹部は「ロッテそのものは業績が良く、経営にはまったく問題ないのに」と首をかしげる。このため、少なくとも経営問題が解任の直接の理由でなく、あくまで「一族の問題なのではないか」との臆測が強まっているのも事実だ。

 こうした中で、同業他社やジャーナリストの間では、「財産問題などをめぐって宏之氏と武雄氏の間に対立があったようだ」という情報が流れている。「武雄氏をないがしろにしたり、反抗的な態度をとったことが逆鱗に触れたことで後継者から外されたらしい」と、実にもっともらしい“話”が流れているのだ。

 実際、朝鮮日報日本語版などでは、武雄氏が何かの問題で、宏之氏に激怒したらしいという情報が報道されるようになった。

 宏之氏に代わり、後継レースに浮上したのは、プロ野球千葉ロッテマリーンズのオーナー代行なども務め、日本での知名度も申し分ない次男の昭夫氏だ。

 そもそも13年ごろから、複数の韓国メディアは「宏之氏と昭夫氏の争いが激しくなっている」との見方を報じてきた。報道の根拠とされたのは、「宏之氏が、韓国ロッテの進出している東南アジアでの事業に意欲を示したり、韓国の中核会社の株式を買い進めたりしたこと」などだ。こうした韓国メディアなどの報道の流れを受け、今回の解任劇を「争いに決着をつけ、分業体制を終焉(しゅうえん)させるものではないか」と推測する市場関係者の見方も根強い。

 中央日報日本語版など韓国メディアはここにきて、「昭夫氏は今月10日に来日し、佃孝之ロッテHD社長や関係企業のトップと会った可能性がある」と報じた。このため「日本事業を統括するための布石を着々と打っているのでは」との見方が日本国内でも強まった。

サムスン、現代も「お家騒動」

 韓国では儒教文化が強く、企業トップは創業家の長男が継ぐのが一般的だ。これらの臆測通り、ロッテ創業家内部の家族対立が原因となって慣例が破られたとすれば、大きなトラブルに発展するであろうことが過去の歴史から予想される。

 たとえばサムスングループは13年、創業者の三男でグループ総帥である李健煕・サムスン電子会長が長兄から、相続財産をめぐって訴訟を起こされた。背景には、後継問題をめぐるしこりもあったとみられている。現代グループは後継者争いを機に00年以降、分裂し、現代自動車現代重工業などが独立した。一連の騒動は「王子の乱」と呼ばれている。

 韓国の財閥は、絶対的な権力を持つ創業家の一挙手一投足が、企業の経営に大きな影響を及ぼす。

 最近では、大韓航空オーナーの長女で副社長だった趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏(40)が、ナッツの出し方に腹を立て自社機を引き返させたとして逮捕、起訴された「ナッツリターン事件」が記憶に新しい。

 ロッテは「お口の恋人」のキャッチフレーズで、日本人に長く愛されてきた。創業家の愛憎が、経営の混乱を長引かせないか-。今後の動向に注目が集まっている。

特集:経済インサイド
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