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石油再編

 石油元売りで売上高首位のJXホールディングス(HD)と3位の東燃ゼネラル石油が経営統合で大筋合意したことが1日、明らかになった。2017年をめどに統合する見通し。両社が持つ製油所の統廃合など合理化を進め、5年後に年1000億円規模の統合効果をめざす。国内需要の縮小が続く中、石油元売りはJX・東燃ゼネ、出光興産・昭和シェル石油の2強体制に収れんする。(関連記事企業総合面に)


 両社は対等の精神で統合することで大筋合意しており、週内にも発表し条件を詰める。14年度の両社の売上高を単純合算すると約14兆3000億円と合併を決めた出光と昭シェル(合計約7兆6000億円)の2倍近い巨大元売りが誕生する。


内田幸雄JXHD社長
 JXHDは傘下に石油元売りのJX日鉱日石エネルギー、石油・天然ガス開発のJX日鉱日石開発、金属事業のJX日鉱日石金属の3社を持つ。統合比率などは今後詰めるが、東燃ゼネ株主にJXHD株を割り当て、その上で東燃ゼネとJXエネを統合する案を軸に検討する。ブランドは当面継続使用し、将来的には一本化も検討する。


武藤潤・東燃ゼネラル石油社長
 12年に米エクソンモービルから株を買い取って独立した東燃ゼネも原油安で経営環境は厳しい。JXとの統合をテコに経営基盤を強化し、勝ち残りをめざす。

 国内ガソリン販売数量シェアはJXエネが約33%、東燃ゼネが約20%で統合後は50%を超える。出光・昭シェルの約32%を引き離す。ガソリンスタンドの数もJXの「エネオス」、東燃ゼネの「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の合計約1万4000カ所に達する。

 国内シェアが5割を超すだけに公正取引委員会との協議を経た上で、17年中の統合をめざす。

 統合後は地域で重複する製油所を統廃合して固定費を削減。生まれた収益を元手に海外展開を加速して、収益基盤を強化する狙い。

 製油所はJXエネと東燃ゼネを合わせて全国に11カ所。原油をガソリンや軽油に精製する能力は日量で計約200万バレルと国内の過半を占めるが、少子化などを背景に過剰感は強い。両社がそれぞれ製油所を持つ神奈川県や大阪府で設備の統廃合を進め、合理化効果を引き出す。スタンドにガソリンを供給する油槽所の重複解消や、給油所の収益改善にも取り組む。

 海外ではJXが原油や天然ガス、銅など資源開発を手掛け、東南アジアでは製油所や給油所運営も検討中。東燃ゼネもオーストラリアで石油製品の合弁事業を計画する。国内の収益基盤を固めて海外展開を急ぐ。

 かつて10社以上あった石油元売りは10年のJXHD誕生で大手5社に集約されたが、経営環境はなお厳しい。経済産業省も「エネルギー供給構造高度化法」をテコに業界の原油処理能力削減を求め、各社はさらなる再編を迫られていた。

 7月に出光と昭シェルが経営統合の協議入りで合意した後、JXHDが東燃ゼネに統合を持ちかけ、交渉を進めてきた。