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 【ニューヨーク=山下晃】米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株の売却に向け、大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたことが21日わかった。最大約33%分を売却する方針で、譲渡先は筆頭株主として経営の主導権を握る可能性がある。売却額は1000億円規模の見通し。外部の資本とノウハウを取り込み低迷する日本事業の再建を急ぐ。日本進出の1971年以来、続いていた米本社の直轄体制を見直す。(関連記事企業面に)


 このほど米マクドナルド幹部が来日し、商社や投資ファンドなど計5社程度に譲渡を打診した。発行済み株式の15~33%分の相対売却を提案、来年1月中旬までの回答を求めている。その後、最有力候補に優先交渉権を与える見込み。売却が実現すれば米本社主導の経営体制から転換する。

 背景にあるのは日本事業の苦戦だ。2014年夏の期限切れ鶏肉の使用問題、今年1月には異物混入問題も表面化し、品質への信頼が傷ついた。15年12月期は380億円と2期連続で最終赤字になる見通し。足元の11月も3カ月連続で既存店売上高がマイナスになるなど客足回復には遠い。

 外部の資本導入を通じてブランドイメージを一新。日本市場を熟知した商社や、企業再生のノウハウを持つ投資ファンド資金力を活用して改装や店舗統廃合など抜本的なてこ入れを進め、競争力の回復をめざす。

 日本マクドナルドの株価は21日で2943円と高値圏にあり、時価総額は約3900億円と外食業界首位だ。業績不振にもかかわらず、株主優待目当ての個人株主の買いに支えられている。純粋な収益力からみて割高との声も多く、米マクドナルドの提案のまま合意できるかは不透明だ。

 消費者の健康志向や競争力低下で、米マクドナルドも業績不振に直面。今春には、18年末までに全世界店舗の1割弱にあたる3500店について直営店から外部に運営を任せるフランチャイズ(FC)店に切り替え、本体のスリム化を進める方針を示した。

 7月に日本を高い成長が見込みにくい市場と位置づけ、資本関係見直しを検討していた。3割超の株売却が実現すれば米マクドナルドは引き続き日本法人からロイヤルティー収入を受け取る一方、株の持ち分低下で連結業績への影響が薄まる。日本の外食市場はピークの97年(約29兆円)から14年は約24兆円と2割弱縮小した。縮む内需を背景に生き残りに向けた資本再編が一段と進む。