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生きることを諦めないこと

本当の言葉を書きます

未来のための提携

 トヨタ自動車とスズキが提携交渉に入ったことが26日、明らかになった。安全・環境技術、低コストの生産ノウハウなど両社の強みを対等の精神で持ち寄り、インドなど新興国での小型車需要の開拓を共同で進める見通しだ。両社は今後、株式の持ち合いも視野に入れるもようだ。世界的な競争が激しさを増すなか、国内大手2社の連携で新興国開拓を加速する。


 世界販売台数が279万台に上るスズキは日本国内の軽自動車でダイハツ工業とともに市場をけん引。低コストの車造りに強みを持つ。収益源はインドでの乗用車事業で、同国でシェア4割とトップを誇る。約30年かけて築いた販売網は強固で、トヨタがインドで事業を拡大するための大きな力になるとみられる。
 トヨタは1997年にインドで生産子会社を設立したが、販売が伸びず足元のシェアは約5%にとどまっている。スズキとの協業を通じて得意とするタイやインドネシア以外のアジア圏での足場を一気に固めたい考えだ。

 トヨタはグループ販売が約1千万台と世界トップに立つ。ハイブリッド車(HV)「プリウス」や燃料電池車(FCV)「ミライ」などに代表されるエコカーや自動運転などの安全技術で先行している。今後、世界的に環境や安全面での規制が強まる見通し。自動運転などのIT(情報技術)化が不可欠となるなか、スズキはトヨタの次世代技術を活用するもようだ。


 トヨタ・スズキ両社は今後、連携に関する協議を多角的に進めていく方針だ。トヨタグループとスズキで、相互に株式を保有することも検討していく。トヨタはスズキと提携する一方、ダイハツを完全子会社化する方針を固めた。
 スズキは米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携解消に伴い、独フォルクスワーゲン(VW)と2009年12月に資本提携を結んだ。ただ、経営権や技術開示のあり方で溝ができ、国際仲裁を経て15年9月に資本提携を解消した。カリスマ経営者の鈴木修会長(85)の後継として長男の鈴木俊宏氏(56)が15年6月に社長に昇格。「ポスト修氏」経営に向けた交渉を水面下で進めていた。

 スズキは約4600億円をかけてVWから買い戻した発行済み株式の20%弱について、一部を消却するとともに、提携などに役立てる方針。

 世界の自動車業界ではトヨタグループ、VW、GMが3強に位置する。GMとホンダがFCV開発などで提携するなど、単純な競争だけでなく協調も大きなテーマとなっている。グローバル販売でトップのトヨタと、日系勢で日産自動車、ホンダに次ぐ4番手にあるスズキが提携交渉に入ったことで、自動車業界の勢力図に大きな影響を与えることになりそうだ。